異邦人(カミュ)を自分なりに訳す I-1

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ameblo.jp

今日、おふくろが死んだ。
それとも昨日だったか。
忘れた。
ホームからの電報を受け取った。
「母上死去。埋葬明日。謹白」
これは何も言っていない(何の情報もない)。
昨日のことだったかもしれない(死亡が?埋葬が?)。
老人ホームはマランゴにある。
アルジェから80kmだ。
2時のバスに乗り、夕方(après-midiは夕飯前までの時間)には着くだろう。
そして、(通夜の)寝ずの番ができて、明日の夜に戻れるだろう。
ボスに二日間、休みたいと伝えた。
ボスもこんな理由なので認めないわけにはいかなかった。
けれども不満げだった。
なので「俺のせいじゃないです」と言ってやった。
ボスは何も言わなかった。
それを見て、俺は言わなきゃよかったと思った。
結局のところ、言い訳する必要はなかったのだ。
悔みの言葉を掛けるべきだったのは向こうだった(向こうこそ、悔やみの言葉を掛けるべきところだったのだから)。
でも、明後日、服喪姿の俺を見たら、きっとお悔やみを言うだろう。
今は、おふくろが死んでなんかいないような気がちょっとする。
埋葬の後には、逆に、しかるべき事柄となり、万事、より正式な風采を帯びることだろう。
俺は2時のバスに乗った(俺は2時のバスに乗ることにした・・・のほうがよいか?)。
とても暑い日だった(その日が暑かった、のか、乗ったバスが暑かった、のか、どちらになるかは文脈次第か・・・その日が暑かったと取る場面だろう・・・)。
俺は、いつも通り、セレステの食堂で食べた。
(その店の)皆が俺のために悲しんでくれて
セレステは「母親ってのは、一人だけだ(から)」と言った。
俺が店を出るとき、彼らはドアまで来てくれた。
ちょっとうっかりしていた。
黒ネクタイと腕章を借りに、エマニュエルのところに行かなくてはいけなかった。
彼は数か月前におじさんを亡くしたんだ。
俺は(バスに)乗り遅れないように走った。
こんな風に忙しなかったり、走ったりしたせいに違いない。
でこぼこ道で車がゆれたり、ガソリンのにおいがしたり、道路と空がまぶしかったこともあっただろう。
そのせいで俺はうとうとした。
移動中、ほとんどずっと眠っていた。
目が覚めた時、軍人にべったりともたれかかっていた。
その軍人はにやっとして、遠くから来たのかと尋ねた。
俺は、それ以上話さなくて済むように「そうです」と答えた。