異邦人(カミュ)を自分なりに訳す I-4

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その小さな霊安室で、彼は教えてくれた。
彼は、貧民としてホームに入り、そして元気で働けると思ったので、管理人をやらせてくれと頼んだとのことだった。
俺は、つまりこのホームの利用者のおひとりということかと、確認のために訊いた。
彼は違うと答えた。
それまでの彼の話の中で、彼は、「彼らは」とか「そのほかの皆さんは」とかの表現を使っていたし、それより頻度は低かったが、彼より若い人もいるにもかかわらず「お年寄りたち」という表現を使っていたのだが、その話し方に驚いていたのは確かだった。
確かに、同じでないするのが自然だった。
彼は管理人だし、ある意味で、彼はホーム利用者に対して権限を持っていた。
このとき、付き添い(看護師)が入ってきた。
急に夕暮れになっていた。
瞬く間に、天窓の上は夜の闇が濃くなった。
管理人がスイッチをひねると、光が突然にはじけて、俺は目がくらんだ。
彼はダイニングに行って夕食にしましょうと言った。
しかし、俺は腹が減っていなかった。
彼は、じゃあ、カフェオレを一杯、持ってきますと言ってくれた。
カフェオレは大好きだったので、それをお願いし、彼はすぐにお盆をもって戻ってきた。
俺はそれを飲んだ。
タバコが吸いたくなった。
しかし、俺はためらった。おふくろの前でしていいかどうかわからなかったから。
よく考えたが、大した問題ではないと思えた。
そこで俺は管理人に一本、すすめて、一緒に吸った。
少しして、彼は言った、「お母さまのお友達の皆さんもお通夜に来られるのですが。
そういう習慣なのです。
椅子とブラックコーヒーを探してこないとな」
俺は、ランプを一つ消せるかと尋ねた。
白い壁に当たった光で疲れてしまっていた。
彼は、できないと答えた。
作りがそうなっていた。全部かゼロか。
彼にはもう用がなかった。
彼は出て行って、帰ってきて、椅子を並べた。
椅子の一つの上に、コーヒーポットを置き、その周りにカップを重ねた。
そのあと、刈れば、おふくろの反対側に俺の方を向いて座った。
付き添い人も奥の方に居て、こちらに背を向けていた。
彼女が何をしているのかは見えなかった
しかし、腕の動きから、編み物をしているのだろうと思った。
気温は肌寒かった、コーヒーで温まった、開いた扉からは夜と花の匂いが入ってきた。
少し眠ったんだと思う。