ブログの文章で勉強する

  • こちらに日本語のことばをテーマにしたフランス語のブログがあります

www.kotoba.fr

  • 完全な書き言葉でもなく、日常会話とも違って、日ごろの思考過程での言葉の運びに近いので、ここの文体や表現で勉強してみることにします。
Il existe des mots difficiles à retenir 
à cause de leur longueur ou de leur sonorité qui nous inspire peu.
  • ~な単語(複数)がある
  • ~するのが難しい単語。re-tenir 再び-取る、ぐっと把持する→記憶にとどめる
  • ~なため
  • それら(単語たち)の~、または、それら(単語たち)の~のため、長さ、または、音色・響き・抑揚 (音はson)
  • われわれを~することが少ない。インスパイアする=強い印象を与える。qui は意味から言って音色を受けているだろうし、「長さ、または、音色」をquiが受けるというのは構造上ないのだろう。quiは直前の名詞を受けている、と
Moi-même, en entendant le terme tatsu no otoshigo 
la première fois, 
je n’ai pas réussi à me faire une image claire dans ma tête 
et je disais sans trop de conviction “tatsushinoko“.
  • 私自身(前の文は一般論を離していたが(Il existeもnous も一般論)、そうではなくて、自分に特化した話に切り替えるよ、という符丁か)
  • en ~ant ~しながら。聞きながら
  • le terme …という表現。たつーのーおとしご という表現を
  • 初めて
  • ne ~ pas 否定, ai réussi 複合過去
  • ~することに成功する(reussir à inf)
  • me faire (se faire 自分自身に作る)、クリアなイメージを、頭の中に
  • disais は「言う」の半過去。
  • 頭にクリアなイメージを抱くことができなかったという事象については「今から思い出すに、そういう状況だった」と述べているのに対して、半過去の方は実際、過去の一番面について、「~と言ったことがある」と述べている。複合過去が指し示している時間には幅があるが、半過去のそれはある時点のこと。
  • 自信がもてないまま、たつしのこ、と。
Il faut dire que tatsu peut faire penser au verbe 立(た)つ 
signifiant “être debout”, 
c’est pourquoi j’ai peut être créé inconsciemment 
l’image d’un “shinoko debout”. 
  • faire + inf ~しなくてはならない、~なはず
  • 「たつ tatsu」は、~することができる。faire penser à ~を想起させる
  • au = a + le、動詞「立つ」を想起させる
  • ~ant 分詞 ~を意味する。"etre 動詞+形容詞 立っている"。le verbeを修飾
  • それ(音「たつ」が「立っているを意味する「立つ」という動詞を想起させうること)の理由は~
  • ai cree 複合過去、作った
  • peut etre 多分という副詞詞が複合過去の2単語に挟まれている
  • 副詞 無意識に
  • あるイメージ、”立っているshinoko(聞き取りミスに出てきた)"のイメージ
Après tout, l’hippocampe nage bien à l’horizontale, 
comme s’il était debout sous l’eau !
  • 「すべての後」、「いろいろ書いたけど結局」
  • 海馬(たつのおとしごのことだけれど、日本語でも海馬という言い方もあり、ここでは、種としての「l'hippocampe海馬」のこと)
  • うまく泳ぐ、垂直方向に
  • まるで~のように comme si
  • sous l'eau 水の下~水中
覚えるのが難しい単語ってうのがあるね。
長い単語とか音の響きからイメージがわきにくい単語とか。
実際、タツノオトシゴという単語を初めて聞いたとき、
自分でも頭にうまくイメージが作れなくて、
自信なく「たつしのこ」って言いました。
とはいえ、海馬は垂直方向に泳ぐんだけど、
水中で立っているみたいに見えるんだけどね。
Toutefois, j’étais bien loin de la réalité 
et en voyant l’écriture en kanjis 竜の落とし子, 
cela m’a fait une sorte de rictus nerveux.
  • toutefois しかしながら。tatsushinokoという誤った聞き取りの中にtatsuを「立つ」と思っていたことと、タツノオトシゴの泳ぎ方から言ってそれがあながち間違いでないという解釈も可能であるが、そうは言っても・・・
  • etais 半過去 真実からはるかに遠いところにいた。tatsuを「立つ」と考えていた自分は、真実から遠かった。その事実のあった過去の一時点の話をしている
  • en voyant (voir 見るの分詞)。漢字で書かれた"竜の落とし子”を見た時
  • cela (見たこと)は、se fair の半過去 a + fait
  • 神経質な笑い・・・哄笑ではなく、微小でもなく、えへへへ・イヒヒ、というような、情動から来るのではなく大脳新皮質の活動から生じる、あえて言えば「笑い」と呼ばねばならないような感情表現の一種としての神経質な笑い
Décidément, le japonais est toujours rempli de surprises 
et je vais donc m’autoriser une petite analyse 
de ce nom d’animal marin qui vaut le détour.
  • Décidéは「決然とした、明らかな」。そこからの副詞「明らかに」
  • est 副詞 rempli de ~で満たされている
  • toujours .... de surprises 驚きとは、時系列で起きることなので、驚きで満たされる程度が大きいというときは、時系列について一杯~いつも~toujours。
  • vais < aller, aller + inf ~しに行く、さあ今から~する
  • se autoriser qc 自分に~を許す(文章語 )。~させていただきたい
  • このことば、海洋動物の
  • 寄り道するに値する
でも、それは全くの間違いで、
漢字で「竜の落とし子」と書いたのを見た時、
神経質に笑わずにはいられなかった。
ほんとに、日本語にはいつも驚くことばかりだけど、
この寄り道するに値する海洋動物に関する言葉についてもちょっと分析させていただきたい。
Vous devez sûrement vous demander 
pourquoi je ressurgis des ténèbres 
pour vous parler du mot hippocampe en japonais. 
  • devoir ~しなければならない
  • se demander ~かしらと思う
  • resurgir -> ressurgis 突然現れる, de ~から。暗闇から突然現れる → 藪から棒に。。。
  • pour vous parler de あなたに~を語るために
Il se trouve que j’en ai trouvé un par hasard en 
nageant sous l’eau au bord d’une plage japonaise 
et qu’on a pu très brièvement l’observer avec mon fils.
  • Il se trouver que (find itself) たまたま~する
  • en ai trouvé un : en ... un = one of them (一匹のタツノオトシゴ), ai trouvé複合過去
  • par hazard = by chance
  • nagean 分詞 泳いでいる, sous l'eau 水中で
  • au boad 岸で・端で
  • plage 海岸、浜辺、海水浴場
  • et qu' : Il se trouve que ... et qu' か。。。
  • a pu 複合過去
  • l'observer : pouvoir が取るinf, l'は見つけたタツノオトシゴ
Je m’étais aussi fait avoir avec le Bernard Lhermitte 
(ヤドカリ yadokari pour rappel) 
qu’on a pu inspecter de nouveau cette année avec émotion. 
  • se faire avoir avec ~にしてやられる(~に騙される)、etre fait 受身
  • pour rappel リマインダとして
  • qu' ヤドカリ
  • de nouveau 新たに、また
  • avec emotion 「感情的に」。inspecterするに際して、感情が動いた
Il m’en faut peu, décidément. (´∀`)
  • me falloir 私にとって必要である
  • en peu -> peu de ... : 少しの…が必要。記事のネタ探しに少しが必要
  • ほんと!
どうして海馬(hippocampe)の日本語について、藪から棒に、
語ることになるんだろうと思うのは当然です。
実は、日本の浜の端(波打ち際?)(海水浴場の端っこ?)で、
それが一匹(一匹のタツノオトシゴが)(水中を)泳いでいるのを
見つけたんです。しかも、息子ととても簡単に観察できたのです。
ヤドカリ (リマンだとしてYadokariと書いておきますが)にも
してやられました。
今年新たに、それを観察することができたのですが、感動しました。
なんと簡単なネタ探しなことか!
Revenons à nos moutons : 
la première question que je me suis posée 
concerne la prononciation tatsu pour le kanji 竜 
du dragon (aussi écrit 龍). 
  • revenir 再び来る(戻る)。わたしたちの羊たちに戻ろう~本題に戻ろう
  • 最初の質問
  • se poser の複合過去(代名動詞の複合過去はetreと作る)。自問した最初の問いは・・・
  • ~に関する
  • 発音tatsu、pour ~ ~の(発音)
  • ecrit 過去分詞 ~と書かれる
Je ne connaissais en effet que la lecture ryû et pour ma défense, 
il ne fait pas partie des fameux jôyô kanji.
  • en effet 実際
  • connaissais 半過去。過去の一時点の状態表現。知らなかった
  • que しか
  • la lecture ryu りゅうという読み方
  • pour ma defense 自己防衛のため
  • 有名なじょーよーかんじ の一部ではない
Il ne faut cependant pas chercher midi à quatorze heures : 
si on dit tatsu no otoshigo et non ryû no otoshigo, 
c’est probablement pour une question de cohérence.
  • cependant ~ however
  • Il faut + inf ~する必要がある
  • midi 正午を、a quatorze heures 14時に
  • 簡単なことを難しく考える
  • 「りゅうのおとしご」ではなく「たつのおとしご」と言うというなら
  • それは(そう言う決まりだということは)
  • 統一性の問題(音・訓統一)
En effet, tatsu n’est que la lecture kun (japonaise) du kanji 竜 
et comme les deux autres kanjis sont aussi lus “à la japonaise”, 
tout va bien dans le meilleur des mondes.
  • 実際
  • ne ... que ~でしかない
  • kun (japonaise) 日本語のくん(訓)
  • comme ~のように(文全体を受けて、~である、それは、~であるのと同様だ)
  • les deux autres kanjis 「竜の落とし子」の落と子の2つの漢字
  • lus a la japonaise 日本風の読み~訓読み
  • "tout va vien dans le meilleur des mondes" このタイトルの本があるらしい。これに似たtout va pour dans le meilleur des mondes というのはライプニッツの言葉として知られているらしい。このあたりを掛けて、「新世界(すべての世界で最良のそれ)ではすべてうまくいくってこと」

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Tout va pour le mieux dans le meilleur des mondes

本題に戻ろう。
まず疑問に思ったのは、どうして、ドラゴンを表す漢字 竜(龍とも書く)が「たつ」と読むのかだ。
実は、りゅうという読み方しか知らなかったのです。
言い訳させてもらうなら、この字は有名な常用漢字にははいっていないですから。
しかしながら、小難しく考える必要はない。
「りゅうのおとしご」ではなく「たつのおとしご」と言うのは、(読み方の)統一問題だろう。
実は、「たつ」というのは、漢字 竜 の訓読みに過ぎなくて、他の2つの漢字も日本風の読みになっているのと同じです。
『新世界ではすべてうまくいくってこと』っていうことだね。
Intéressons-nous alors à 落とし子 (otoshigo) qu’on n’emploie plus aujourd’hui.
  • interesser qn a qc ~に~への興味を持たせる。ここでは、Nous interessons a qc の主・動 転置があって、~しよう(let's ~)に相当
  • ne ... plus もはや~ない
  • employer 使用する
Littéralement “enfant qu’on a fait tomber”, 
il désignait autrefois l’enfant illégitime 
qu’un homme de haut rang avait eu avec sa maîtresse.
  • 文字通りには、"on(誰か)が faire tomberの複合過去~落とした子"
  • AがBを落とすは、A fait tomber B. ~”Bが落下する事態をAが起こす"と表現する
  • il = "enfant ... tomber"はdesgnait (半過去、designer 意味する。かつてautrefoisは過去のある頃に限局したときのことを指すので半過去かと)
  • illégitime 結婚によらない・非嫡出の
  • haut rang 高いランク
  • avait eu 複合過去…designaitと同じ限局した時期のことだが、落とし子は繰り返し生まれたので複合過去で表現するらしい
  • sa maitress : un homme de haut rang の愛人
C’était assez péjoratif, 
d’autant plus que le verbe 落とす(otosu) renvoie aussi à l’échec.
落とされてしまった (otosarete shimatta) : 
j’ai été refusé/recalé. 
  • これはかなり悪い意味がある
  • d'autant plus que ~だからなお一層
  • 落とすという動詞
  • renvoyer 送り返す・指し示す(refer), renvoyer a ~ refer to
  • echec 失敗~落とされてしまったという失敗
  • ai ete 複合過去、拒否された/不合格とされた。拒否されたり・不合格とされるとその後に影響があるので、半過去ではなく複合過去を使うか?
Ainsi, on pourrait traduire tatsu no otoshigo 
par “l’enfant raté du dragon“.
  • Ainsi また、こうも言える
  • pourrait : pouvoir の条件法現在。そのような翻訳が確かにあるというわけではないが、あえてこのように訳してもよいかもしれない、というニュアンスか
  • tranduire A par B AをBと翻訳する
  • raté 的を外した、失敗作の
D’ailleurs, le Nihon kokugo daijiten indique que le second sens de otoshigo 
est bien “chose qui naît avec un résultat inattendu ou non voulu“.
  • ailleurs よそに、別のところに。D'ailleurs それに、その上
  • indiquer que ~と教える、示す
  • オトシゴの第二の意味は
  • bien 強調、~でさえある、のようなニュアンスか?
  • naître 生まれる
  • avec ~として
  • 意図しない、または、望まれない
さあ、落とし子に話を戻そう。
これは今日ではもはや使わない言葉です。
文字通り(字義通り)には、誰かが落とした子、
その意味は、位の高い男の人が愛人との間にもうけた
非嫡出子のことです。
この語にはかなり悪い意味もあって
「落とす」という動詞は失敗も意味することがあります。
「落とされてしまった」(フランス語で書けば)私は、
拒否された/不合格とされた、のように。
場合によっては、タツノオトシゴをドラゴンの
「失敗作の子(ドラゴンになり損ねた子?)」
と訳してもよいかもしれない。
さらに言えば、日本国語大辞典の
落とし子の第二の意味は
意図せず、または、望まれずに生まれたもの
でさえある。
  • この「落とし子」についての文章から考えさせられることがある。
  • 「落とし子」の「落とす」という表現から「不良品・落第者」という意味合いと関連付けて説明されている部分についてである。
  • 「落とし子」自体の性質には「良くない」ことは言っていないように思う。「落とし子」が引き受けなければいけない社会環境にあって、「落とし子」には不遇な立場が与えられてしまう、という意味で、可哀想な、というニュアンスが付随している、という解釈の方がよいのではないだろうか。ネイティブ日本語環境者にとっては。。。
  • それはなぜか。落とし子、には「ご落胤」という表現とも通じていて、高貴な男の「種」が野卑な環境に落とされ、でも大事に育てられ、大きくなって貴族界に戻って来るというような「お話」が多く語られているからかもしれない。
  • また、言語的には、こうも言える。「落とし」子の場合、落という文字を使って表現される動作の主は父親であって、子ではない。「落」に悪い意味があっても、その主体は父親であり、子自体は悪くない。父親が出生後のことをケアしないで種を落としていったという行為には無責任とかそういう「落」度があるが、子にはその責めは負わせられるべきではない、と感じる。
  • 逆に「落とされ」子と表現されていれば、「落とされ」たのは子であり、「落」の悪印象は子に張り付くように思う。
  • このあたりの自動詞・他動詞・能動・受動については、言語学的にどういう風に考えられているのか不勉強で知らないが、日本語ネイティブの1人としてはこのように感じる。
  • さらに言えば、このあたりの日本語のニュアンスをフランス語で表現するときには、次のようなことも関係してきて、上手に説明を尽くすためには注意が必要な感じがする。
  • 自動詞・他動詞・能動・受動の問題は、「落ちる」「落とす」「tomber」「se tomber」「faire tomber」など、日仏の表現の入り乱れがある、とそういう点についてのコメントである
  • ブログの文章に戻ろう
A-t-on placé trop d’attente derrière notre hippocampe ?
  • On a place ... の疑問文で a -> on の順となり、響きの具合から t が間に挿入されている
  • attente 待つこと、待ち時間、期待
  • derriere ~の後ろ・背後に
Si les Japonais ont décidé de donner un tel nom à l’hippocampe, 
c’est possiblement parce qu’ils s’attendaient à le voir voler et cracher du feu ! 
  • si ~, c'est ~. ~なのは~だからだ。~であるならば~という論理から派生した使い方なのか…
  • decider de inf ~することと決める、~することとする
  • tel こんな
  • attendre 待つ・期待する s'attendre a qc/inf を予想する・予期する・覚悟する の半過去(昔の日本人。名前をつけた、は複合過去、予想したのは半過去。半過去の事象があって、その結果、それに引き続いて実施したことが、そんな名前で呼ぶことにするということだから。これが名前をつける部分も半過去だと、そんな名前をある時点でつけて、今は別の名前に変えている必要があるのかもしれない
  • a le voir voler : le(タツノオトシゴ)が飛ぶのを見る
  • voler et cracher du fue : cracher 痰をはく・飛ばす
On imagine ainsi aisément la déception d’un enfant 
qui affirme à ses parents avoir trouvé un bébé dragon (tatsu no ko ! 龍の子 !), 
bébé dragon qui se trouve être à la place un truc ridicule 
qui ne fait que nager paisiblement en aspirant ses proies. 
  • aisement ~ easily
  • deception 落胆
  • affirmer 主張する。直説法現在、または、接続法現在。接続法かな。。。竜の赤ちゃんを見つけたと主張しているけれど、それは真実ではないので直説法にそぐわないということか・・・
  • avoir trouve 複合過去。(子供が)見つけた(見つけて、今も観察できる状態であるので複合過去)、その事実かもしれないけれど、結局事実ではないことを含意するために接続法か・・・
  • その竜の赤ちゃんは、à la place 竜の赤ちゃんである代わりに、something ridicurousであると判明する se trouve これも直説法現在 vs 接続法現在。。。
  • ne ... que ~だけしか
  • paisiblement 平和に(竜のように猛々しいのではなく)
  • en ...ant ~しながら。proie 餌
Car si vous ne le saviez pas, 
l’hippocampe utilise sa bouche comme un puissant aspirateur 
en faisant déplacer de manière brutale un os dans sa bouche.
  • car なぜそんなことを言うかというと...だから。
  • saviez savoirの直説法半過去、それを知らないならば
  • le は、l'hippocampe utilise... か???
  • bouche 口
  • puissant 強力な aspirateur 吸引機
  • en faisant : en ... ant
  • deplacer 場所を変える、動かす
  • de manière brutale : 野獣のように・乱暴に
日本人が海馬にこんな名前をつけることにしたのは、
おそらく、飛んで火を吹く(吐く)んじゃないかと
思ったからだろう。
竜の赤ちゃんをみつけたよ、と親に報告した子供が、
本当はそう(竜の赤ちゃんなんか)ではなくて、
餌を吸い込みながらのどかに泳ぐだけの変な奴だと知ってしまったら、
がっかりするだろうっていうのは簡単に想像できる。
こんな風に言うのも、海馬は、口の中の骨を乱暴に動かして、口を強力な吸引機のように使うことを知らないかもしれないと思ってね。
Pas assez impressionnant sans doute 
pour épater le père de l’enfant 
qui lui rétorqua cruellement 
“eh bien, il est foiré ton bébé dragon, 
c’est un tatsu no otoshigo en fait, hé hé !”. 
  • assez ... pour inf ~するに十分な
  • sans doute おそらく
  • epater びっくりさせる
  • retorquer 言い返す、返答する 直説法単純過去。かきことば・お話でのみ用いられる。→ 「言い返したのでしたとさ」
  • foire < Foirer (俗)うまくいかない 失敗に終わる 不発に終わる
Un nouveau mot avait vu le jour grâce à la cruauté d’un père japonais !
  • nouveau mot 新しい言葉(その子にとっての新語~タツノオトシゴ)
  • avait vu 複合過去。voir le jour 生まれる(日の目を見る)
Je tiens à préciser que c’est une pure invention de ma part, 
n’allez pas colporter ça ailleurs, 
cet animal a suffisamment souffert comme cela !
  • tiens < tenir 持つ・つかむ。tenir a inf ~することを強く望む
  • preciser はっきり述べる、明確にする
  • invention 発明、作ったもの。(ここに書いていることは)自分が思っていることを書いたことであって根拠があるわけではないという意味合いか
  • aller inf ~しようとする
  • colporter 行商する・売って回る、言いふらす
  • ca これ(ここの話)
  • ailleurs よそで
  • souffert < souffrir 苦しむ の過去分詞
J’ai pu trouver sur le Net une hypothèse plus poétique, 
celle relatant l’épisode d’un dragon 
qui aurait laissé tomber (par mégarde ?) 
des œufs dans l’eau, 
ce qui aurait donné des hippocampes.
  • ai pu 複合過去 ~できた
  • sur le Net (インター)ネット上で
  • une hypothèse plus poétique もっと詩的な仮説
  • celle ~ une hypothese
  • relatant 分詞 relating
  • aurait < avoir 条件法現在。仮説の内容を表しているから条件法。avoir lasse 複合過去
  • par megarde うっかりして
多分、その子のお父さんには
びっくりしてはもらえなくて(をびっくりするには不十分で)、
お父さんはその子に残酷にも、こう答えたのでした。
『あー、お前の赤ちゃんドラゴン、残念でしたー。
それはタツノオトシゴっていうんだよ、へへへ』
お父さんが残酷だったお蔭で、
新しい言葉が生まれました。
私ははっきり言っておきたいけれど、
これは私の作り話です。
この話をよそで言いふらさないようにしてください。
この生物は、今のままでもすでに十分に苦しんでいるのですから。
ネットに、もっと詩的な仮説を見つけることができました。
その仮説はある竜の出来事に関連するもので、
その竜は(うっかりして?)卵を水中に落としてしまい
それが海馬を生んだというものでした。
Par curiosité, j’ai aussi regardé 
s’il n’y avait pas une influence du chinois, 
mais cela ne semble pas être le cas 
puisqu’il s’écrit 海马 “le cheval des mers” (马 = 馬 en chinois simplifié).
  • le cas 「その事実~中国からの影響であること」
C’est bien plus noble 
et on peut d’ailleurs aussi l’écrire 海馬 
(kaiba ou umiuma) en japonais.
  • bienは plus noble を強めており、plus noble は「より高貴」
Sauf qu’aujourd’hui, 
ce dernier mot désigne plutôt la partie du cerveau 
qu’on appelle aussi “hippocampe” en français.
  • Sauf que ~を除けば。「今日のこの記事以外では」
  • ce dernier mot 後のことば=海馬
  • plutot むしろ
En même temps, l’inverse aurait été bizarre
 (le sale gosse du dragon pour la structure du télencéphale).
  • meme 同じ。En meme temps 同時に
  • l'inverse 逆(海馬ではなくてタツノオトシゴの方が脳の部分の名称であること)は
  • aurait 条件法現在。avoir + ete
  • sale grosse 汚らしいガキ
  • télencéphale 終脳
興味があったので、中国からの影響がなかったも調べてみました。
しかしながら、中国の影響というわけではないようでした。
なぜなら、海馬 (海の馬)と書くからです(马は馬の簡体字)。
これ(海馬)は、もっとずっと高貴で
日本でも、海馬(かいば または うみうま)と書くこともできます。
今日(今、この記事)を除けば、後者の言葉(海馬)はむしろ、脳の部分を指します。
そしてフランス語でもそれをhippocampeと言うのです。
-同時に、逆だったら変でしょう
(竜のガキンチョが終脳の構造を指していたら)。
Quoi qu’il en soit, 
on ne sait pas vraiment dans quel contexte tatsu no otoshigo est né, 
juste que le terme serait plutôt récent 
(19e siècle selon le Nihon kokugo daijiten) 
et qu’il serait apparu bien après kaiba (12e siècle).
  • Quoi qu'il en soit は成句「いずれにせよ」「しかし」。。。関連する2つのものを対比的に述べるときの副詞
Au passage, 
je n’ai pas précisé 
que ce dernier renvoyait également au morse 
(“cheval marin”), セイウチ (seiuchi) aujourd’hui en japonais.
  • Au passage = By the way, 話題を変える
  • ai precise 複合過去 はっきり述べなかった
  • ce dernier 後者(海馬)
  • renvoyait < renvoyer の直接法半過去, renvoyer a ~を指す
  • également ~もまた
Ainsi, on peut émettre l’hypothèse 
qu’il y a eu une volonté de distinguer chaque animal marin au 19e siècle 
puisque seiuchi daterait aussi de cette période.
  • ainsi そういうわけで
  • émettre 放つ
  • il y a eu はil y a の複合過去
  • volonte 欲求
  • daterait < dater de ~に始まる、にさかのぼる
C’est rationnel, j’aime bien ! 
  • 理にかなっている。
いずれにせよ、
たつのおとしご(という語)がどんな文脈で生じたかは
本当のところよくわかっておらず、
かなり最近(日本国語大辞典によれば19世紀)
生まれたことぐらいしかわかっていない。
これは、海馬に比べてずっと後のようだ(海馬は12世紀)。
ところで話は変わるが、後の方の語(海馬)は、
現在の日本語では
morse (フランス語、セイウチのこと)、
(または、「海の馬」とも言うが)
(日本語では『セイウチ』と書き、seiuchiと読む)
のことを指す。
なので、こんな仮説が立てられるかもしれない。
19世紀には、セイウチが認識されるようになり、
海洋生物をそれぞれ
区別する必要性が生じていた、と。
納得がいくし、僕は好きだな!
Un petit mot pour conclure ?
  • 結びのためにちょっと一言
J’espère 
que cet article un peu différent de d’habitude 
vous a plu.
  • J'espere 私は望む
  • いつもとちょっと違うこの記事が
  • a plu 複合過去、vousは目的語
Je n’ai pas évoqué l’usage du mot tatsu no otoshigo 
(qu’on écrit habituellement en katakana タツノオトシゴ d’ailleurs) 
puisqu’à ma connaissance, 
il ne sert qu’à décrire l’hippocampe en tant qu’animal.
  • evoquer 言及する
  • on ecrit ~と書く
  • d'ailleurs ところで
  • puisqu'a ma connaissance 私の知る限り
  • en tant que ~として
Il avait pourtant un potentiel d’analogie non négligeable : 
un gosse de riche qui aurait mal tourné, un pétard mouillé…
  • pourtant しかしながら
  • gosse ガキ
  • aurait < avoir 条件法現在
  • tourner mal 素行が悪くなる
  • petard 爆竹、mouillé 湿った
J’ai l’impression 
que comme on écrit rarement ce mot en kanji, 
il est assimilé comme un tout “TatsuNoOtoshigo”.
  • ~なる印象を持っている (que 節の印象を持っている)
  • comme ~ ~なので
  • assimiler 消化・同化する
Je dis ça sans grande conviction 
et si vous connaissez une œuvre 
qui utilise ce mot d’une façon détournée, 
n’hésitez pas à en faire part en commentaire !
  • ca このように
  • œuvre 活動・作品・業績
  • détournée 婉曲な・遠回りの、detourner 方向を変える
  • faire part de qc a qn ...に...を知らせる、en faire part en はde ...(使っている例があったら)
今日の記事はいつもとちょっと違っていましたが、
面白いと思っていただけたら、と思います。
たつのおとしごと言う単語を使って見せませんでしたが、
(ところで、習慣としてカタカナで書くことが普通です)
私の知る限り、生き物としてのhippocampeを指して
使うだけだと思います。
しかしながら、この言葉には無視しえない
アナロジーの可能性があります。
不良になった金持ちのガキ(このアナロジーはまだ理解できるが…)、
湿った爆竹(こちらのアナロジーはどういうつもりかわからない…)
この言葉はめったに感じで書かないので、
タツノオトシゴ全体で理解されているように思う。
こうは言うもののあまり自信はありません。
もし、方向性の違う使い方をしている作品を知っていたら、
是非、コメント欄で教えてください。
Retenez en tout cas 
qu’on trouve des hippocampes dans les mers japonaises et 
que ça nage très lentement.
  • retenir 覚えておく、引きとどめるの二人称複数命令形
  • en tout cas ~ in all cases
J’ai même cru 
que celui qu’on avait trouvé 
était à moitié mort, 
car même si vous l’effleurez, 
il ne va pas se mettre subitement à accélérer.
  • a moitie 半分
  • effleurer そっと触れる
  • va + inf ~しようとする
  • se mettre 自分を~の状態/~する状態に置く=~な状態になる
  • subitement 急に
いずれにせよ、
日本の海でみつけるタツノオトシゴは
とてもゆっくり泳いでいるのは確かです。
私が思うに
見つけられるタツノオトシゴは
半分、死にかけているのです。
なぜなら、そっと触っても、
球に動こうとしたりしませんから。
C’est sur ces mots que je vous quitte, 
en espérant pouvoir rédiger 
un nouvel article dans moins de 3 mois.
  • C'est ... que 強調(私があなたと別れるのは、これらの言葉とともに、である)
  • quitter と別れる
  • en esperant 希望しながら
  • rediger 書く
Je pense écrire un mail 
ce mois-ci pour la Newsletter de Kotoba, 
histoire de vous donner de mes nouvelles 
et vous évoquer mes projets pour l’avenir. 
  • penser inf =~するつもり
  • ce mois-ci 今月
  • histoire 歴史、histoire de inf ただ~するために
  • evoquer 思い起こさせる
  • avenir = future
Sachez enfin 
que j’ai réouvert ma boutique eBay en juin 
où je vends toujours des dictionnaires électroniques 
avec des dicos français-japonais.
  • sachez < savoir 二人称複
  • enfin ついに
  • eBay ネットショップサイト
Les frais de port ont par contre augmenté 
entre temps (obligation d’envoyer en EMS), 
même si les soucis concernant les frais de douane 
semblent avoir disparu.
  • les frais de port 配送料
  • ont augmente 受け身 上がる
  • par contre その代わり
  • etre temps その間に、そうこうするうちに
  • obligation 義務
  • envoyer 配送する
  • soucis 心配
  • concernant ~に関して、関する
  • douane 税関
  • semble avoir disparu : 複合過去 avoir disparuの不定詞形をsemble がとっている
3か月以内に新しい記事を書けますように
と思いながら
この言葉とともにお別れします。
今月は、コトバのニュースレターに
1本のメールを書くつもりです。
単に私のニュースを
お届けするのと
先の予定をお知らせするだけです。
お知らせします!ついに
6月に私のeBayショップが
リオープンします。
仏日辞書とともに、電子辞書を
いつも販売しています。
税関の費用に関する心配は
なくなる様ですが、
その代わり、しばらくの間、
配送料が上がります。
(EMSで送る決まりなので)